介護

元気だった母が要介護になるまで。その1

2年前まで元気で家計と家事一切を切り盛りしていた母だった。

ある日の夜、夕飯を食べて普段通り寝たあと、夜中に玄関から出ていくような音がした。

どこへいったんだろうと思っていたら、しばらくして血だらけになって戻ってきた。

手にはコンビニの袋と、口が開いたままになったお財布を持ち、お財布からは小銭がボロボロと零れ落ちている。

どうしたのかと聞いても「ちょっとそこでつまずいたかもしれない」とは言うんだけど、なぜコンビニで冷やし中華を買ってきたのか、自分でも覚えていないという。

擦り傷と血の跡を拭いておでこに手を当てると少し熱っぽかったので、熱のせいだと思って氷枕をして寝かせた。

以前に膀胱炎からの感染症で高熱を出した時にも、わけのわからない言動をして入院したことがある母だったので、とりあえず熱を下げて、明日病院に連れて行こうと思っていた。

ところが、それからしばらくして玄関に近所の人が「お母さん、大丈夫でしたか?」と訪ねてきた。

「さっきそこで転んで仰向けに倒れて、1分ぐらい起き上がれなかったんですよ、頭を打ってると思うんだけど」

えー!

となって、寝ている母の後頭部を触ってみると確かにぼこっと腫れている。

心配だったので救急車を呼んだ。

救急隊の方が到着して、血圧は大丈夫そう、年齢とか名前を聞いても答えられたのだが頭を打っているなら念のため病院へ運びましょうということになり。

入院実績のある近場の病院は夜中で頭、ということもあって片っ端から断わられ、30分ぐらいしてやっと車で20分ぐらいのところにある病院に受け入れてもらった。

私は、救急車の中で母が「ここが救急車だ」ということも、となりに座っているのが救急隊の人だということも認識していたのであまり心配していなかった。

ところが、次に母がこう言ったのだ。

「今日はパパは家にいるの?」

パパとは10年以上前に亡くなった私の父のこと。

これはマズいかもしれない。と私は救急隊の人に言った。

病院について一通り検査をした後、医師に説明を受けた。

硬膜下出血。大量ではないがじわじわと出血がある。

今回転んだのが原因とは断定できず、少し前にも転んでいるかもしれない。そのような跡がある。

母は心臓に人工弁を入れているためワーファリンを飲んでいる。そのため入院してワーファリンを止めないと出血が止まらない。でもワーファリンを止めると別なリスク、脳梗塞や心筋梗塞の可能性も高まるので万が一ということもある。

脳の様子を見ると認知症になっていてもおかしくない萎縮も見られるので、出血が収まってもどれぐらい元に戻るかはわからない。

今、同居されてるの?介護はできるの?

というような話だった。

私自身、大慌てする性格ではないしぼんやりしているので、特に実感はわかなかったのだが、いきなりそんな話をされると内心はとても動揺した。

ICUに入り、外で待機していて面会できるまでには夜が明け、やっと部屋に通されると各種機械でつながれて、かつ勝手に動いて起き上がろうとするため拘束されていた。

拘束は以前入院した時も経験があるので、ショックではなかったのだがついさっきまで普通だった母が「夕飯のしたくがあるから帰りましょ」みたいなことをブツブツつぶやいていて、一瞬にして頭がおかしくなってしまったことがショックだった。

母が緊急入院したことを病院の近くに住んでる友達に知らせたら心配して外で待っていてくれ、駅まで送ってくれた。

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